バーチャファイターMini |
現在ではゲームのグラフィック表現として主流になったポリゴン。 世界初のポリゴンを使った格闘ゲーム、バーチャファイターはアーケードで 歴史的な大ヒットを飛ばした。 本作は当時の最新家庭用ゲーム機、セガサターンに移植され、本体と 同時に発売されるやいなや70万本を売上げ、新規ユーザーの獲得に大きく 貢献した。 やがてその人気を受け、アーケードでは続編が登場。そしてセガが メインスポンサーを務める同作品のテレビアニメも放映された。 内容の方はというと、修行の旅を続ける八極拳の拳士、結城晶。 ふと、立ち寄ったチャイナタウンのレストランで、餃子の大食いに チャレンジしていると、組織の暴漢に追われている少女、パイ・チェンが店内に 逃げ込んできた。 彼女を助けた事によって、なりゆきで一緒に行動する事になった晶の 元に、組織の刺客である拳士達が送られてくる。 彼らとの戦いを通じて、大きく成長していく晶の姿を描いている。 それまで明確な性格が設定されていなかったキャラクター達が描かれた 本作は、プレイヤー自身が想像していた姿とのギャップがあった。 特に、大飯食らいの極楽あげとんぼ の晶は、多くのプレイヤーの度肝を抜いた。 視聴率の方は好調で、本来半年の放映予定だったが、2のキャラクターである、 リオンと瞬帝を加えて3ヶ月程延長された。 その人気を受けて、携帯ゲーム機ゲームギアのマイナーチェンジ版、キッズギア (ボタンが入力しやすくなり、本体前面に大きく晶のイラストがプリントされている。) の本体同梱ソフトとして発売されたのが本作である。 低年齢層のユーザー獲得が目的だったのは明白だ。 無謀…。あまりにも無謀である。かたや最新の32ビットModel1ボードを使ったアーケード。 こっちは2世代前の家庭用8ビットゲーム機を、携帯ゲーム機に改造したもの。 山崎邦正が、ヴァンダレイ・シウバに喧嘩を売る 様なものである。 当然、ポリゴンなんて使えるわけが無くドット絵。 8メガという当時の携帯ゲーム機としては破格の容量を使って、再現しようと意気込んではいるものの、 モーションキャプチャーを使って、格闘家の動きをトレースし、リアリティーを追求した アーケードには、遠く及ばなかった。 そういった不利な点を埋めるべく、アーケードには無い魅力として、アニメのシナリオに沿ったストーリーモードが追加された。 大容量を活かして、バトルの幕間にふんだんに画像を使ったビジュアルシーンが 展開されるのだが、そこに容量を割いたせいか、キャラクターの一人、ジェフリーが削られてしまっている。 スタッフは彼に対する愛が足りないぜと、しか言い様が無い。 このモードは最初、晶一人しか使えないが、勝利すると相手が仲間になり、 彼らを使って代わりに戦うことが出来る。 晶と仲間が全員倒されるとゲームオーバー。 一人の相手を複数で袋叩きにする様は、戦隊ヒーロー の様である。 また対戦する前に、3つのカメラモードを選択することが出来る。 その内のひとつ、リアルタイムは相手との距離によって、キャラがズームアップ されるのだが、小さいサイズのキャラを無理矢理、画面の三分の二 まで巨大化させているので、ドットの荒さが目立って、 本来なら迫力を感じる演出なのだが、 かえって貧相に感じる。 そもそも2D格闘ゲームは、アニメのような非現実的で派手な動き をするのが普通だったので、リアルさを売りにするアーケード版とは 水と油。その二つを組み合わせた本作はプレイしていて非常に違和感を感じる。 たぶんそれは、ポリゴンでアニメらしさを出そうとして失敗した、 ときめきメモリアル3と、同種の物だろう。 セガの最盛期を象徴する時代の異端児が、本作の本質なのかもしれない。 最後に、キッズギアにはこのゲームの他に、通信対戦ケーブルが 同梱されており、テレビCMではふたりの子供が「スゲーッ!」と、 驚嘆の声を上げながら夢中になって対戦していたのが印象的だった。 実際に対戦して遊んだ人は、いったい何人いるんだろう? 個人的評価 ☆☆☆ |
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