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ヴィクセン357

「飛装騎兵カイザード」は、PCエンジンで発売された、ロボットに乗り込んで戦うシミュレーションゲームで、 本作「ヴィクセン357」はその続編にあたる。

宇宙からの侵略者を、SERDと呼ばれるロボットで撃退してから十数年。外敵からの脅威への対抗策という名目で、 新型ロボット兵器、VECTORを開発した新生国家メリズマハープの軍事基地に、謎の敵ロボット部隊が襲撃してきた。 辛くも撃退したたくやたちスラッシュ隊だったが、戦乱の渦は、嫌が応にも彼らを飲み込んでいった。

まず、電源を入れて驚かされるのは、前作の倍以上の容量を使っているだけあって、カートリッジにもかかわらず、 オープニングではアニメーションムービーが流れる。

このシリーズは、ロボットアニメを意識して作られているので、こういった演出面の強化は正当な進化といえる。
しかし、それ以外の部分は、スタッフが前作の魅力を良く理解していなかったのだろうか、むしろ、退化しているように感じられる。

まず、メカデザインがいまいち垢抜けない。
カイザードでは飛行形態に変形できる機体は、華奢で背中に翼を持ち、狙撃用の機体は、大型のライフルを構え、 バリアーを展開する機体は、両肩にバインダーがついている。といったように、シルエットでも識別できるくらい個性的で、 一目で機体特性が判別でき、加えて、そのままアニメ化しても十分通じるくらいに、センス良くまとまったデザインだったのに、 今回は、お菓子メーカーがおまけ用に自社でデザインしたような、やる気のないジムやリーオー といった感じの、無個性なロボットがプレイヤーの愛機となる。
しかも、味方側のカラーリングは、全機体が、青、黄、白の三色で塗られているため、判別がしにくい。キャラデザインが良いだけに 余計にもったいないと感じる

次に、ユニットの個性が弱くなり、戦略に面白みがなくなった。これはシステム面の変化が影響している。
前作では、パイロットは固定されていて、それぞれが乗り込むのは、用途別にカスタマイズされたワンオフ機だったのに対し、 今回は同型機が複数存在し、乗換えが可能になっている。
さらに、それまで各機体が持つ武器は一種類だけだったが、出撃前に射撃用と格闘用の武器を、ひとつずつ選ぶことができる。
これが実に蛇足に感じる。
前作では可変機体で先陣を切り、砲撃機体で迎撃、爆撃機体で雑魚を殲滅し、格闘機体でボスを倒すといったように、 それぞれの役割分担があって、これを生かした戦略を考えるのが楽しかったからだ。
ユニットの特殊能力は前作ほどの神通力を持たないのに加えて、パイロットにも得手不得手があるので、 乗り換えることもほとんどない。武器も特性に乏しく、結局追加されていく強力な武器を選んでいくだけなので、 システムとして活きているとはいいがたい。
だったら、無理に変更する必要はなかったのではないのだろうか?

そして、何よりストーリーが弱い。
主人公たちに目的意識が感じられず、ただ、攻めて来る敵を追い払ったり、上からの命令や、敵から寝返って味方についた やつの誘導に従っているだけ。伏線も山場も謎もあまりない。四天皇と呼ばれる敵のボスのキャラクター性も希薄だ。 寝返って味方についた奴との絡みを増やし、裏切ったことに対するジレンマを掘り下げて書くこともできたはずなのに……。
最後に出てくる真のボスなんて、出てきて一方的にVECTORの秘密をしゃべった後、勝手に自滅してしまう。 もはや性質の悪い冗談にしか思えない。戦いの舞台が前作と違って、あまり変化しないのも、盛り上がりに欠ける一因だ。

最後に演出のセンスがない。
会話シーンは増えたものの、前作にあった「このやろう、ヤキニクにしてやる!」といった、エスプリの効いたユニークな台詞回し が弱くなり、BGMは気分を高揚させず、一番の見せ場であるはずのロボット同士の戦闘シーンも、アニメのようなカメラワークを駆使し、 テンポ良く見せていた前作と変わり、今回は小さく全身を映し、カメラが攻撃側から防御側に水平にパンするだけ。
なんだか遠くで戦っているのを眺めているようで、迫力に乏しく、感情移入ができない。

かなり辛口の評価になってしまったが、これは筆者が同社が製作を手がけた前作をはじめ、「重装機兵レイノス」「重装機兵ヴァルケン」 といった一連のロボットゲームを高く買っているからだ。
このメサイヤというメーカーは、ロボットアニメの魅力を良く理解していて、なおかつ、そのツボをゲームの中に 非常にうまく散りばめることができるからだ。
残念ながら、その力を発揮できなかった珍しい失敗例が、このゲームなのかもしれない。

個人的評価 ☆☆

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